記事一覧

アジアの通貨危機

1997年にソロス氏の率いるヘッジファンドがタイの通貨THBに目をつけ膨大な金額の空売りを仕掛けることでおきたアジアの通貨危機は、私の人生の中でも最も大きな出来事のひとつとして今でもはっきりと記憶に残っています。
1THBがUD$に対し24.5であったものが半年の間に56まで下がったのです。
これが経済に与えたショックは膨大なものでした。
いろいろな例がありますが、ちなみに、車の輸入を例に挙げましょう。国産車がないタイでは車はすべて輸入車です。
タイバーツをドルなどの外貨に変えて支払ってきたのが、ある日突然価格は変わらないのに、支払わなければいけないタイバーツがどんどん増えていったのです。こんな事態はだれも想像しないものでした。株価は暴落し、輸入ディーラーは次々に倒産しました。
このことは、タイ国内に大きな動揺を与えました。倒産、自殺も相次ぎ、一夜にしてすべてを失った投資家が証券取引所に閉じこもり、挙句の果てには自殺する様子などがTVで映し出されるなど、混乱の度合いは想像を絶するものでした。

その事件は同時に私にとっては大きなビジネスチャンスでもありました。これまで輸入に頼ってきた同国は、自動車、建設機械など多くの商品を外国のメーカーから仕入れ、店頭に並べて販売していました。その商品の売れ行きが100%ストップしてしまい、行き場を失ったディーラーを訪問し、彼らの定価でタイバーツを目の前に並べて買い捲ったのです。
日本、アメリカ、ヨーロッパなどから輸入され売られている商品は外国に比べてかなり割高に売られていました。しかし、一気に半分になったタイの通貨は、外国人の私にとってはその価格を半分に半分に下げてくれたのです。
最初彼らには私の意図がわからなかったようです。
彼らは喜んで私に商品を譲ってくれました。
私はその商品を、アメリカ、中近東、ヨーロッパへと輸出したのです。
海外の私の顧客は争って私の商品を買ってくれました。
日ごろの取引を通じての信頼もあり、日本円にして数千万円単位のドルをどんどん前金で振り込んでくれたのです。
私とタイの友人はタイ中のディーラーを回り、新車や新古車を買い集めました。
この当時は私にとってのバブルといえたのでしょう。
ある意味有頂天でした。
この時代のことは、少しずつこのブログで書きたいと思います。

私がこのことを書こうと思ったのは、現在のタイバーツの動きに不安を覚えているからです。
1バーツが3円前後で長い間推移してきたタイバーツが、最近3.6円程度まで上がっているのです。米国ドルも大きな動きを見せていない中、タイバーツだけが高騰するというのは、ある意味危険な兆候のような気がしてならないのです。

経済の専門家でもない私には本質を分析するだけの材料はありませんが、同じ危機が再び起こらないことを祈るだけです。

コメント一覧